自分の自宅兼会社は、行田市の中心商店街にある。
何年か前には、隣にモスバーガーが店舗を構えていて
続いてお茶屋、時計屋、皮膚科、肉屋、呉服店、印刷所と並んでいた。
もう片方の隣はと市内でも評判の団子屋だ。
そして小さいスナックがあって園芸店、書店、洋食屋、歯医者、煎餅屋、荒物屋、呉服店と連なっていた。
向いの3階建てのビルには、文房具店、洋品店、ゲームコーナーを有した雑貨店が入っていた。
ビルの隣には金物店があり、仕事熱心な店主はときどきチラシを新聞に折り込んでいた。
さらに向いには洋品店、八百屋、玩具店が並び、玩具店の角を曲がると美容室、スポーツ店。
道路を挟んでインテリア店、薬局、煎餅店・・・と続く。
商店街の歩道の頭上にはアーケードが被されていた。雨の日も買物をできるように・・・。
天井からは“ゆうせん”のBGMが1日中、明るく奏でられていて
毎日たくさんの人が歩道を歩いていた。
とくに「8」のつく日は「あらやす市」と称して、全ての店で1割引きで買い物ができた。
商店街の道は北へまっすぐ延びて駅へぶつかる。
駅へ向かう手前、国道が交わる交差点を中心に東西南北に渡って、さらに様々な商店が軒を並べていた。
それが幼少のころの行田市の中心商店街の姿だった。
時が過ぎ、今や商店街には、ここに記載した店のほとんどが閉店してしまった。
アーケード街にはほとんど歩く人もなく
時々車が通りすぎるだけの幹線道路になってしまった。
最近、轟音が聞こえてくるが
それは近くのデパートのビルを解体する工事である。
そして今日、目の前の文房具屋さんの入るビルにも、工事関係者らしき人はたくさん集まっていた。
実はお店をたたみ、ビルを解体するらしい。
そのとき偶然、隣を見ると、団子屋の家族が店内から什器を運びだしていた。
時を同じくして団子屋さんも廃業するという。
まるで戦争か災害でも起こっているかのように、
次々と店が閉店し、人が減っていく。
そう思うと有名な杜甫の叙事詩が聞こえてくる。
国破れて 山河在り/街は戦乱で破壊され 山河だけがのこった
城春にして 草木深し/家の周りには草木が繁って 人影すらない
時に感じては 花にも涙をそそぎ/このいたましい時世に感じ、花を見ても涙が流れる
別れを恨んでは 鳥にも心を驚かす/別ればかりで気が滅入り、近くの鳥が飛び立つだけで怯えてしまう
この街は、自分の故郷はどうなってしまうのか。
かつて活気のある商店街を知っているだけに寂しく思うのである。
株式会社ヨコカワ 横川英士
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