当社が長年行田市、熊谷市で実施されてきた「終活」の情報発信と理解への取り組みが評価され、この度、埼玉県行田市と「高齢者における終活事業の支援に関する連携協定」を締結することに至った。
市行政と一民間葬儀会社がこのような協定を結ぶのは希少で、新聞にも掲載されるほど話題になった。

そもそも、何故地域の一葬儀社がこのような取り組みを始めたのか・・・。
私どもは「行田セレモニー」「家族葬のファミール」という名前で葬儀・お墓・法事を請負っている地方の小さい葬儀会社でしかない。しかし地元だからこそ、皆様から葬儀だけではなく、周辺多岐にわたるお問合せや相談を受けることが多い。
たとえば「来週○○寺で法事なんだけどお布施はいくら包めばいいの?」とか「ペットが亡くなったんだけど、○○斎場で火葬を申込みたい」など、直接葬儀の請負いに関係ない問合せ、つまり回答しても利益に結びつかないことだ。テレビコマーシャルをやっているような大手なら、ローカルの情報に長けているわけではないし、そもそも葬儀の売上に結びつくことがないので知らぬぞんぜんで済ませるのだろうが、地元の葬儀社として頼られたのであれば可能な限りお応えしてきた。
やがてお応えするジャンルもだんだん幅広くなり、葬儀の後のこと…葬儀後の諸手続き 相続 遺品整理 実家の処分 家族を喪った心のケア 独り身になってしまった方のパートナー探し まで及び、相談や支援を行ってきた。
さらに最近は単身高齢者が増え、相談する人が身近にいない方も多く、葬儀の前のこと…介護 医療 保険 年金 後見人 身元保証 日常生活支援 にまで広がった。
地元地域では自分や家族の身辺や将来で不安や困窮している方が多い…長年地元の葬儀社として地域の皆様から信頼され支えられてきた企業として黙って見過ごせしていいものか…
そのとき自分の体に流れる「血」が答えをだした。
私の曾祖父、横川富蔵は「仏の富蔵」と呼称されるほど実直でそれでいて親切な人物であった。
当時行田市は足袋産業が盛んで、銀行や証券会社が次々と建立し、投機で資産を増やす同業社が多いなか、富蔵は「楽して儲けるのはよくない」と一切手を出さず、そればかりかお金で困っている人には見返りなしでお金を貸した。
楽したり、ズルして得たお金でご飯を食べて美味しいか…そんなご飯を家族に食べさせることが出来るのか。
コツコツ働いて、人より長く多く働いて、儲けたお金は従業員や困っている人に還元していく。それが地元で商売を続けていくことだ・・・そんな声が子孫の血に流れている。
不器用なのかもしれない。バカがつくほど正直なのかもしれない。
それでもそんな会社が地域に一件くらいあってもいいんじゃないか。
そしてそんな会社がたとえ小さくても潰れることなく長く地元で存続していれば、
真面目に正直に仕事をしている人の希望になるんじゃないか。
そのような姿勢で自分まで4代に渡って仕事に取り組んできた。
数世代を継いで自分の体内に伝わるそのようなDNAが、当時書籍で目にした稲盛和夫氏の言葉「動機善なりや、私心なかりしか」が着火点となり、葬儀事業とは別に、利益なしの「終活事業」へ着手するスタートとなった。稲盛氏が言う「利他の心、皆を幸せにしてあげたいということを描いて経営していく」という姿勢が背中を押したのだ。
こうして葬儀の前後の課題に事前に整理しておこうと「終活」へ取り組む方へ向けて、当社の姿勢に理解を示し共感して頂いた専門家・諸団体との連携をとりながら無料のイベント・・・映画祭や講演会、勉強会を10年以上まえから開催してきた。
参加される方たちは、みな真剣だった。
冷やかしや遊びで見える方はいない。みな自分自身のこと、家族のことを心配し、解決を図ろうと講座中は講師の話に耳を傾け、資料にメモを書き込んでいた。
だからこちらも真剣だ。
講師の選定はその業界の一流を手配し、事前に講師とも打合せを繰り返し、参加された方には安心して満足して帰ってもらえるように、宣伝も準備も怠ることなかった。
これだけの労力と時間と費用をかけて、見返りも求めず無料でやっていることに、営利を目的にする企業として正しいことなのか・・・と心が揺らぐこともあったが、そんなときには体に流れる先祖の血と、稲盛氏の言葉が萎える心を奮い立たせてきた。
そのような取り組みが評価されて、今回の協定に至ったことは大変喜ばしいことだ。きっと富蔵さんも褒めてくれるに違いない。
すでに地元の社会福祉協議会の方や、地域包括センターの方からも声がかかり期待されている。
当社が持っている専門的な知見、経験、そして地元の企業であることのネットワークを地元の皆様に還元させてもらいながら、高齢者はもちろん多くの方が安心して暮らせる社会づくりに寄与する企業になることを、この協定の締結で心新たに誓うのである。


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